ぼちぼちダイアリー

とにかくなんか書いてみよう!

小さな喜び3つ

今日は入院していた伯母が退院する日だった。早朝から3回も電話をかけてきて、そのたびに「今、〇〇病院ってとこにいるんだけどね…」と言う。それは知ってるよーと心の中でツッコミをいれつつ、不安に襲われた。自分がなぜここにいるのか分からなくなってしまっていたみたいだった。ああ、いよいよ認知機能が低下してきたのかな…。

でも施設に帰って馴染みのスタッフさんたちの顔を見たら、目に輝きが戻ってきて、元の様子に戻ったので安心した。居室に戻ると、テーブルの上に手紙が置いてあった。隣の部屋の人が心配して書いてくれたものらしく、嬉しそうに読んでいた。別のおばあちゃんも訪ねてきてくれて、「おー!」と言いながら二人でハイタッチを交わしていた。いつの間にかハイカラな挨拶を覚えてる!と驚く。コロナのせいであきらめていた訪問リハビリも、特例として受けられるように取り計らってもらえた。よかった、本当によかった。

 

施設からの帰り道、自然食品店に立ち寄った。ふと見ると箱いっぱいの大根葉が無造作に置いてあって、その横に「お土産にお持ち帰りください」との文字が。うおー、宝の山発見! 大根葉は地味に好物。いくらでも食べられる。袋いっぱいに詰めこんで、ほくほくしながら家路についた。(もちろん他の買い物もしたよ)

家に帰って、大根葉を調理した。細かく刻んで、じゃこと一緒に油で炒めて、お酒と醤油とかつお節で適当に味をつける。最後に白ごまをまぜたらできあがり。これ、ごはんにかけたら無敵のおいしさ。ザッツ地味メシ! どうして世の中の大根は葉が切り落とされて売っているのか不思議でならない。こんなにおいしいのに、捨てるなんてもったいない。

 

夕食の後はゆりこさんのオンライン・レッスン。今日はHands on the back of the chairを練習してみた。これはアレクサンダーテクニークの伝統的な訓練法のひとつで、「型」のようなもの。イスの背に手を置くという決まった動作を通して、腕の使い方を探究する。腕が自由に使えるためには下半身が安定していなくてはいけなくて、腕の探究をしていたはずが、いつのまにか脚の探究になっていく。

イスの背ではなくリアルな動作で腕の動きを探究をしてみたくて、後半はお皿をふきんで拭くという動きをやってみた。自宅でのオンライン・レッスンのいいところは、日常生活での応用をすぐに試せるところ。お皿を拭くときでも、下半身が安定していて、その上に上半身がバランスよく乗っていることが大事。言葉で書くと簡単なんだけど、なかなかできない。一度できても、それを自分にとっての「型」にした途端に、身体内部のいきいきした感じが消えてしまう。

でもレッスン後に本当にお皿を洗って拭いてみたら、いつもよりもいい感じでうれしかった。型は不思議。人を自由にもするし、不自由にもする。

 

雨降りの空、けぶる街並み。小さな喜びがひとつ、ふたつ、みっつ。
同じに見える灰色の風景も、毎日装いを変えている。

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